So-net無料ブログ作成
前の5件 | -

財務業務③資金調達(挨拶編) [資金管理]

金融機関の「人物」像とは


  みなさんが金融機関に対して抱いているイメージと、それらを抱かせる金融機関の事情について、また金融機関に今なにが起こっているかなどについて解説してきました。金融機関は事業規模や職員数が大きく、歴史も古い企業体です。今起こっていることで経営方針が急転回することは、まずありません。それは金融機関の体質として「保守的」であり、「色を好まない」という性格がそうさせるのです。
 「保守的」が意味するのは「先取的な取り組みを嫌う」ということです。総じて横並び主義的な思考を持っているのです。金融機関は長く旧大蔵省(財務省)による「護送船団方式」という指導の下で、統一したサービス(規制金利)によって営業をし、「自由度はないけれど安定した収益が約束された環境」で育ってきました。したがって、「独自性を出そう」という発想は極めて限定的でした。このことは金融自由化となった現在でも企業体質として根深く存在しています。

 ですから、何か新しいことをやろうとするときも「他行は?」「金融庁は?」と横並びに意識が向き、周りの動向を非常に気にします。

 もう一つの「色を好まない」という点について。金融機関はあまねく一般の企業・個人がお客様となります。「若い方からお年寄りまで」「スタートアップ・起業家から老舗企業まで」「個人事業者から上場企業や官公庁まで」――。広くお客様に金融サービスを提供することを社会的使命として営業をしています。こうしたお客様に幅広く支持をいただくためには偏った考え方、特色を持つことはできません。最大公約的な価値観から支持されることが求められるのです。

 従って金融機関で働く従業員もニュートラルさが必要です。

 例えば、身だしなみでいうと男性なら清潔感あふれる髪型や、紺のスーツに白のカッターシャツ、地味色のネクタイ、磨き上げられた黒い靴、というイメージが金融機関で働く者には求められていると教育されます。女性なら、髪は染めたりしない、長い髪は後ろで束ねる、ネイルはダメ、お化粧もナチュラルに、といったところでしょうか。とにかく「個性を見せない」「万人受けする」ことが金融機関の就業者に求められる人物像なのです。こうした企業ポリシーを徹底的に教育されてきた職員からは、なかなか突出したアイデアや行動力は生まれにくいものです。

 しかし、そういう均一性が金融機関の売り・強みでもあります。

 「この人に命の次に大切なお金を預けて大丈夫か?」この目線に立ったとき、あなたはどういう営業マンにお金をあずけますか?

 金融機関の職員は「真面目でノーマル(偏った考えを持たないという意味で)」な基準で採用されます。そして社会常識を重視する教育を受けます。また社内規程や行動規範などの「ルールに沿って行動する」との意識を強く教え込まれます。さらに、どちらかというとプライドが高い人も多いのです。誤解やお叱りを承知であえて言えば、お客様の利便性を優先して自らの労を厭わず艱難辛苦(かんなんしんく)して働いている、と感じている職員が多いのです。

 どうでしょうか、「金融機関人」のイメージを分かっていただけたでしょうか。真面目にコツコツ、正義感が強くて規範倫理をしっかりもった人、といえばいいでしょう。最近はいろいろなタイプの人が増えていますから、私の描くイメージはもう古いと一蹴されるかもしれませんね。




相手に通じるように言葉を選ぶことが必要


 さて、ここから核心部分です。個性的に均質な人の集まりである金融機関は、外部からの働きかけに対する受容度が、「一般企業のそれと比べて狭い」と考えてください。自分のモノサシを相手方に求める。これにはまらなければ受け入れられない、理解しない、という性格がとても強いところです。

 みなさんが起業家で資金調達の必要が出てきたときに、金融機関にどうやって自分の事業内容、事業計画、資金調達効果、返済確実性を説明しますか?

 みなさんはご自身のことだから、あなたを知る仲間や同業者ならすべてを語る必要はないかもしれません。しかし、金融機関の人にとって、あなたはまったくの門外漢です。まして独自のモノサシで結果から将来を推し量ることに馴染んだ考えの持ち主です。これを無視して「私の話を聞いて」と申し出ても聞く耳を持たず、あなたの言葉が通じないことが往々にしてあるのです。このことは、よく心得ておく必要があります。

 でも、この関門を突破できたら、金融機関はあなたに対してとても強い興味を抱きます。よき相談相手、よき支援者としてあなたの事業の味方に変わることでしょう。この関門を突破するためには、金融機関にあなたの言葉が分かってもらえるよう、努力をするしかないのです。そのために金融機関という「人物」が、どういう性格でどんな考え方をしているのかをあらかじめ知ること。あなたが初めて会う人と友達になりたいと考えたときに、相手のことを推し量ることと同じです。

 一方的なあなたからのラブコールでは相手は振り向きません。まず、あなたの言葉が相手に通じるように言葉を選ぶことが必要です。臆病でわがままな相手(金融機関)の気持ちを動かすキーワードが必要になるのです。あなたなりのキーワードを見つけてください。きっとあるはずです。それを見つけて金融機関の門を叩きましょう。



nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

財務業務④資金調達(創業融資編) [資金調達]

金融機関との面談のポイント


 金融機関からの資金調達を選択した場合、融資にあたり、まずは、創業融資の申込みを兼ね公庫、銀行又は各自治体に相談&申込みに行きます。

 そして、事業計画書を作成します。その後、事業計画書をもとにしました金融機関との面談がこの後にあります。

 創業については資金調達しやすい公庫の面談を前提に簡単に解説します。

 面談は、申込みから大体1週間~2週間以内に公庫の管轄支店で行われるのが通常です。面談には、代表者の方が行きます。(※この際に、自分はあまりうまく話せないからという理由で代理人を立てようという方もいますが、基本的には代理人などは認められません。)

 公庫としても、創業をされる代表の方が知りたいのです。時間は、大体1時間~2時間くらいになります。基本的には、事前に提出してあります事業計画書に基づいて面談は進んでいきます。そして、面談が終わりますと、1週間程度で融資の可否の結果が来ます。




面談の際の一般的な注意点


 ・マイナスなことを自分から言わない。

 担当者からの質問に対しても、基本的には前向きに全て答えましょう。もちろん、マイナスな結果しか答えようが現状ないことであっても、現状はこうだけど、この後、ここが問題でそれを解決することで問題は改善、解決できるという前向きで建設的な話をしましょう。

 ・聞かれていないことは言う必要は言わない。

 担当者から聞かれていること以上のことを答える必要はありません。もちろん嘘をつくこととは違います。聞かれたことにのみしっかりと答えることを心がけてください。

 ・話が長くなりすぎないように結論から伝える。

 面談は公庫の方にあなたを知ってもらうための場ですので、公庫の担当者が話をするようにし、あなたは、必要のないことは話さないようにしましょう。

 ・事業計画書との整合性を意識しましょう

 事業計画書は面談の前に提出しています。そのため、面談担当者も事業計画書には目を通して面談に臨みます。そのため、あなたはもちろん事業計画書の内容をしっかりと理解しておく必要があります。大抵の場合は、起業家自身が作成しているので問題ないと思いますが、そうでない場合には注意が必要です。

 また、ただ単に事業計画書の中身を覚えても暗記して話をすることもよくありません。本当に良くできている事業計画書というのは、全ての項目が有機的に連動しています。つまり、一貫しており、節々に創業者の熱い想いや、計算のようなものを伺い知ることができるのです。



nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

財務業務⑤資金調達(新たな金融機関の選び方編) [資金調達]

金融機関は敷居が高い?


 あなたが初めて金融機関に行ったのって、いつでしたか?個人取引(お年玉を蓄える、給与振込口座を作る、住宅ローンの利用など)なら、これまで多少の経験はおありになると思います。でも『事業で使うため』となってくると、起業されたときになりますね。そもそも金融機関って、これまで生きてきた中でもあまり接点がない世界ではないでしょうか。ドアを開けた時の何とも言えない威圧感、冷たい感……。「いらっしゃいませ!」と声をかけてもらっても、飲食店のそれとはまったく違う、どこか怪しまれている感も感じられた経験があるかと思います。

 そうです!あなたの感じた通り、金融機関は玄関に「見えないバリア」を張っています。「鬼は外」のお札を張っているようなものです。なぜか。金融機関は不特定多数のお客様を相手にします。中には金融機関にとって好まれざる方(反社勢力等)も、手間のかかる方(クレーマーなど)もいらっしゃいます。そういう方々がお店に入ってこられないようにバリア(声掛け、注視、防犯用プラスチックボード・・・)を張っているのです。


金融機関が作り出すバリア


 金融機関に入りにくい理由はそれだけではありません。口座を開設する、振り込みをする、投資信託などの金融商品を買うなどなど、何かにつけて身分証明書、取引理由を聞かれます。「何も悪いことしていないのに、何でいちいち聞かれなきゃならないの?」????このストレスが大きいので、知らず知らずのうちに金融機関を敬遠しているんですね。さらに、待たされる!ことも大きいでしょう。
 実は金融機関も好きでお客様の不興を買っているわけではありません。お客様が金融機関で行う様々な手続きには行政等から法律で定められた確認業務があります。それを忠実に行わないと遵法行為なのです(この目的には好ましからざるお客様を排除する目的が含まれます)。こうして金融機関は建前として「敷居を高くしている」のです。


我慢強いタイプも辟易とする決まり文句


 お客様に「敷居を高く」感じさせてしまうもう一つの理由に、精神的な負い目を負った善良な人の心に土足で踏み入れる無神経な「突っ込み」を受ける恐怖心があるのではないでしょうか。
・定期預金を解約する→何にお使いですか?(自分のお金何に使おうとほっといて!)
・ローンを借りる→何にお使いですか?(「なんで手元のお金で買わないの? 」って言わんばかり!)
・返済を待ってくれ、返済額を減らしてほしい→なぜ約束を守れないのか?(「はじめにいい加減な約束をしたんだろう? 信用置けない!」的な視線)
 二の句が容易に想像できるような顔でこうした言葉を切り出されるのは、いくら我慢強いタイプの人でも積もり積もれば、いずれは爆発しますし、恨みも買います! 人は非常にナイーブな生き物なのだということを、金融機関の人間がどれだけ我が身のことと感じているか、なのかもしれません。
 ここへの気配りができているか否かは、金融機関の組織的な問題、というよりはその店舗の支店長や管理者の意識で左右されることが大きいのです。金融機関は当局からの指針で顧客本位の営業体制を求められているので、顧客からのクレームに対しては過敏に反応します。しかし、前述のような職員のビヘイビア(態度、関心)に関しては、金融機関として親切丁寧に応じることと、効率的な業務遂行との両天秤で片付けられているのです。
 「効率的な業務の遂行」といえば何か冷たい感じがしますが、「お客様を待たせない」「均等なサービスを提供する」といった効果を出すためといえば理由が立つわけですね。


金融機関を選ぶ視点


 金融機関はほとんどが民間企業ではありますが、公共的使命性を強くもっている側面があります。どうしても全体最適(より多くの人に質の良い金融サービスを提供する)的な思考が強く働きます。でも、だからといって「個々の対応には我慢しましょうよ」と言うつもりは毛頭ありません。金融機関に対して言うなら、お客様の苦痛や敬遠心を「いかになくせるかにコミットする」ことが、真の選択される金融機関につながるのだと理解して、自己変革を強く求めたいところです。お客様の視点に立てば、この点を「金融機関を選択する基準」として持つことを、強くお薦めします。職員個々のビヘイビアに注意を払える金融機関は、お客様の困りごと、悩みによりそいながら、一緒に解決策を考えていく風土が育っています。


nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

財務業務⑥資金調達(銀行の財務分析) [資金調達]

 企業と言っても、大企業に中小企業、さらには老舗企業に起業間もない企業などいろいろあります。ただ、全ての企業に共通しているのは、決算をしないといけないということです。



決算は1年の集大成、企業の通信簿です。


 ところで、決算書はいろいろな場面で必要になりますけど、その中の一つにお金を借りるときがあります。私の会社はこんなに良い会社なので、ぜひ融資してください!という感じで、決算書などを見せながら説明します。

 このとき注意しないといけないことがあります。と言うのは・・・

 経営者(起業家)にとっての良い決算 = 銀行にとっての良い決算とは限らないことなんです。そのため、起業家は銀行がどのようにして決算書を見て、融資の可否判断を行っているのか、知っておく必要があります。つまり、銀行が行う財務分析を知ることは起業成功のキーポイントです。



銀行が重要視する決算書の中身とは・・・


 銀行は仕事柄、基本的に決算書はネガティブに見るんです。とは言っても、今の銀行は独自のスコアリングモデルを持っていて、ほぼ機械的に決算書を分析、点数化しています。属人的にならないために。

具体的には、以下のとおりです。

 決算書に書かれてある科目を使って、いわゆる財務指標(何とか比率っていうやつです)を算出します。各財務指標にはそれぞれ点数が配分されているので、配点します。そして、この合計点に応じて、融資可否、利率が決まります。

 もし、融資可否のボーダーライン上の点数になった場合は、その企業の技術力、組織力など(知的資産ですね)を判断して、加点するケースもありますよ。

 であれば、普通こう考えますよね。配点の高い財務指標を良くしていけば効率的だ!
おっしゃる通りです。ただし、ここで問題が・・・

 財務指標ごとの配点は各銀行によって違うし、何より公表していません。では、どうすればいいんでしょうか?

 実は、銀行が行っている決算書の分析は金融庁の金融検査マニュアルに沿って実施されているので、ある程度予想はできます。



覚えておきたい決算書の科目は5つ


 金融検査マニュアルでは、「債務者区分は、債務者の実体的な財務内容、資金繰り、収益力等により、その返済能力を検討し・・・」と書かれています。

 つまり、決算書から財務内容・資金繰り・収益力を見極めなさいって言ってるんです。

 財務内容 → 自己資本比率、有利子負債自己資本比率
 資金繰り → 債務償還年数、利払い能力
 収益力 → 総資本営業利益率、売上高営業利益率

 おそらく、このあたりが重要な財務指標になると思います。それぞれの算出式は以下の通りです。

 自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産
 有利子負債自己資本比率 = 有利子負債 ÷ 自己資本
 債務償還年数 = 有利子負債 ÷ (当期純利益+減価償却費)
 利払い能力 = (営業利益+受取利息) ÷ 支払利息

 これらの算出式から、重要な科目は・・・

 自己資本(↑)、総資産(↓)、有利子負債(↓)、営業利益(↑)、支払利息(↓)
であることがわかります。(矢印は、多いほど良い、少ないほど良いを示しています)

 起業家は、これらの5科目を経営管理上の重要科目として認識しておくことをお勧めします。



決算処理中に押さえておくとポイント


 せっかく作った良い決算書であっても、ついつい銀行が気にしてしまう科目があるんです。

・貸付金
 この科目は決算書上に存在するだけで怪しまれるんです。と言うのも、営業活動上よっぽどのことがなければ、貸付金なんて発生しませんよね。不良債権を隠しているのでは??って思われてしまうんです。特に毎期、金額も全く変わらないような貸付金科目は100%不良債権だと判断されます。

・役員貸付金、役員借入金
 特に起業間もない会社のような規模の小さな会社は社長の財布=会社の財布ってことがよくあると思うんです。だから、これらの科目もよく登場しますが、意味合いは全く逆なんです。当然、銀行が格付する上でも、評価は正反対です。

 まず、役員貸付金ですが、これも不良債権と判断される可能性があります。最悪なのは、私的流用を疑われることなんです。コンプライアンスに対する懸念はもちろん、放漫経営が原因の倒産なんてシナリオまで銀行は考えるんです。

 一方、役員借入金はプラス面が大きいです。借入金ですから負債なんですが、実質的には資本金と判断してくれます。これは金融検査マニュアルにも「自己資本と考えていいですよ」ってバッチリ記載されています。

 だとすれば、B/Sを作るときに役員からの借入金がある場合、長期借入金などの借入金科目に入れ込むのではなく、役員借入金の科目を独立させて記載するのが得策ですね。

 銀行は基本的に疑ってくるので、貸付金や役員貸付金があっても、正当な理由をきっちりと説明するように心がけましょう。



nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

財務業務⑦資金調達務(格付評価) [資金調達]

 一般企業の場合、社債、特に公募債で資金調達しようと考えた場合格付機関から格付を取得します。これは企業の主に社債発行において償還できるかどうかの安定性を図る指標として取得します。しかし、金融機関も資金の貸付先に対して格付を行っています。

 ①格付が良い → 選ばれる
 ②格付が悪い → 選ばれない

 一方、格付をしているのはお客様だけではありませんよね。経営上、避けて通れない銀行も格付を行っています。銀行の場合は債務者格付って言うこともあります。



銀行はなぜ格付をするんでしょう?


 もちろんビジネスだから、お金を貸す、貸さないを決めるため、貸すにしても利率を決めないといけないからなんですけど、もう一つ大きな理由としては、金融庁から「ちゃんと格付しろ!」って言われているからです。銀行はバブルの時に無茶苦茶な貸出をしていたので、ルールが厳格化されました。このルールを守らないと、最悪営業停止になるんです。この銀行が行っている格付のカラクリを知ることは、起業家にとってとても大切です。

その理由は・・・

 格付が良い → お金を借りることができる。しかもコストは安く
 格付け悪い → お金を借りることができない。借りることができてもコストが高い

 となります。

 それでは、銀行が行う格付のカラクリについて具体的にお話しましょう。



銀行も格付されている


 銀行が行う格付を知る上で、今の銀行がどのようなルールで仕事をしているのかを見ていきましょう。銀行はバブル期に無茶苦茶な貸付をしていたので、バブル崩壊後はたくさんの回収不能が発生し、結果として税金が投入され、九死に一生を得ました。

 その教訓から、銀行の健全な経営を確保するために、早期是正措置という制度が導入されました。簡単に言うと、身の丈に合った経営をしているかどうかを金融庁が定期的にチェックします。身の丈に合っていない度合いに応じて、イエローカードやレッドカード(営業停止)が出されます。

 銀行は銀行で金融庁からある意味格付けされているといえます。この格付けは、何を根拠に格付されているかというと「自己資本比率」です。ただ、この自己資本比率、一般の会社とは少し計算方法が違います。

 銀行の自己資本比率=自己資本÷貸付金  → 分母が貸付金になります。

 つまり、「貸付金というリスクのあるモノに対して、自分のお金はどの程度あるんですか?」っという概念に基づいて計算されるんです。このリスクを表す尺度が銀行が行う格付です。

 ちなみに、この格付(自己資本比率)が4%未満になると、銀行は営業停止になります。さらに、海外に支店を持っている銀行(メガバンクなど)はこの値が8%にハードルが上がります。



銀行は2つの格付に悩まされている


 先程のとおり、銀行には2つの格付が存在します。

 ①自分が行う格付

 ②自分がされる格付

 この2つの格付は複雑に絡み合っています。銀行はお金を貸すことが仕事です。利息=利益です。
 そのため貸付金は基本的には増やしたいと考えます。貸付金は自己資本比率の計算上、分母でしたね。無節操に増やしていけば、自己資本比率、すなわち銀行自身の格付が下がります。これはこれで問題です。

 関係を整理すると

 ①格付が高い企業への貸付→利息(利益)が少ない→自己資本が増えない(銀行自身の格付が上がらない)→でもお金は確実に回収できる

 ②格付が低い企業への貸付→利息(利益)が多い→自己資本が増える(銀行自身の格付が上がる)→でもお金が回収できない可能性がある

 となっており、銀行って正解がない問題に常に直面しているんです。



銀行はどうやって格付するの


 皆様の経営する企業、あるいは働いている企業は銀行はどうやって俺の会社を格付してるのでしょうか?

 基本は、みなさんが提出した決算書の財務分析です。この財務分析は銀行ごとにスコアリングモデルがあり、ほぼ機械的に行われています。自動的に財務分析しているので多くの企業はここに基づいて格付けされてしまいます。いわゆる定量的分析です。

 絶対知っておいてほしい内容について3つお話します。

 ①資産の含み損について

 例えば、A社はB/Sの自己資本が1000万円あるとします。これまでは利益もきっちり出しているとすれば、財務分析上、格付は高くなります。ただ、高値で買った土地に含み損、すなわち購入価格と現在価値に差があり、その価格が2000万円だとしたら、一気に1000万円の債務超過と判断されるんです。

 他にも回収不能になっている売掛金や減価償却不足なども含み損として銀行が判断する可能性があります。機械的に行う財務分析は格付に最も影響を与えるんですが、このような修正も銀行は必ず行います。

 ②定性情報について

 決算書から定量情報分析しますが、ただ、会社には決算書に表れない価値もありますよね。例えば、商品力や技術力、社長の人脈などです。知的資産と言ったりもしますが、これが定性情報です。
 この定性情報を用いた格付は金融庁も積極的に指導していて、銀行では融資担当者のいわゆる目利きを高めるべく、取り組んでいるようです。自社にはどのような定性情報(知的資産)があるのか、事前にまとめて金融機関との面談時に必ずプレゼンテーションを行うようにしましょう。

 ③節税

 起業家のみならず、経営者なら税金はできることなら安くしたいと思うのが当然でしょう。ただ、節税は利益を抑えて課税所得を小さくすることになるので、当然ながら決算書が悪くなり、格付が下がる可能性を含むという側面もあります。

 「節税によるメリット<格付悪化によるデメリット」とならないように注意が必要です。特に起業間もない会社は資本金も少なく、節税対策の結果が債務超過だと目も当てられません。格付は急降下です。起業後しばらくは、多少税金は払い、資本を厚くすることを優先すべきです。



nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事
前の5件 | -