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決算処理-連結決算③段階取得 [決算-連結決算]

 連結子会社が増加するケースのうち、既にある子会社を段階取得した場合の会計処理等について解説していきます。

 これらの会計基準は原則として平成27年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用することとされています。当解説シリーズにおいては、改正前と改正後の会計処理を併記して解説していきます。
 20180215連結決算.jpg
 対象会社の株式の取得が複数の取引により行われ、支配を獲得し、連結子会社とした場合(段階取得)の会計処理について説明します。
 設例1: 10%→60%(連結子会社)
 設例2: 30%(持分法適用関連会社)→60%(連結子会社)

 (1) 段階取得の会計処理

 親会社の子会社に対する投資の金額は支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額に基づいて算定するのではなく、支配獲得日の時価によります(企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下、連結会計基準という。)第23項(1))
 これは、企業が他の企業を支配するという事実は、当該企業の株式を単に追加取得することとは大きく異なり、被取得企業の取得原価は過去から所有している原価の合計額ではなく、当該企業取得のために必要な額とすべきであるという見方によるものです。つまり、支配を獲得したことにより過去に所有していた投資の実態又は本質が変わったものとみなし、その時点で投資が一旦清算され、改めて投資を行ったと考え、支配獲得時点の時価を新たな投資原価とすべきとする考え方です。
したがって、子会社の支配の獲得が複数の取引により達成された場合(段階取得)には、支配獲得までの取得原価と支配獲得日の時価との差額を、当期の段階取得に係る損益として処理します(企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」(以下、企業結合基準という)第25項(2))。
 連結財務諸表上、段階取得に係る損益は、原則として特別損益に計上します(企業会計基準適用指針第10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(以下、企業結合適用指針という)第305-2項)。

 (2) 関連会社及び非連結子会社の段階取得に係る損益

 連結財務諸表上、段階取得に係る損益を認識する理由は、(1)に記載のとおり、企業が他の企業の支配を獲得することで過去の投資の実態又は本質が変わったものとみなすためですので、新たに支配を獲得し、子会社になる場合に認識します。
 したがって、既に保有している株式を買い増して関連会社とし、持分法を適用することとなった場合には、段階取得に係る損益は認識されません。
 一方、株式を買い増して非連結子会社とし、持分法適用非連結子会社とすることとなった場合には、連結子会社ではなくとも支配を獲得していますので、段階取得に係る損益を認識することになります。
 なお、持分法適用関連会社の株式の追加取得により、連結子会社となった場合には、支配獲得時の時価と持分法による評価額との差額が段階取得に係る損益として計上されます。

 (3) 設例

  設例1 当初持分比率10%→60%(連結子会社)のケース
  ① 前提条件
   (ア) P社がS社の株式を段階取得
  (取得状況)
   20180215連結決算2.jpg
  発行済み株式数:10,000株
  設例において評価差額の税効果については考慮しない。
  個別財務諸表上の仕訳については省略する。
  
   (イ) X2年3月31日のP社及びS社の貸借対照表
    20180215連結決算3.jpg
  支配獲得時(X2年3月31日)の土地の時価評価額は240,000千円

  ② 連結仕訳(単位:千円)
   (ア) 土地に係る評価差額の計上
   (借) 土地 8,000   (貸) 評価差額 8,000  
   計算式:土地の時価-土地の帳簿価額=240,000-160,000=80,000

   (イ) 修正後のS社貸借対照表
    20180215連結決算4.jpg
   (ウ) 投資額を支配獲得日の時価に修正
   (借) S社株式 10,000   (貸) 段階取得に係る差益 10,000  
   計算式: S社投資額の時価-S社投資額の帳簿価額
  =@40千円(支配獲得日の時価単価)×6千株(保有株式数)-230,000(支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額)=10,000
  このように支配獲得までの取得原価と、支配獲得日の時価との差額は、「段階取得に係る差益」として原則として特別利益に計上されます。

   (エ) 投資と資本の相殺消去
   <平成25年改正後の会計処理>
   (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式 240,000  
      利益剰余金 60,000   非支配株主持分(*1) 96,000  
      評価差額 80,000     
      のれん(*2) 96,000     
   *1(資本金100,000+利益剰余金60,000+評価差額80,000)×非支配株主持分比率40%=96,000
   *2S社投資額240,000-(資本金100,000+利益剰余金60,000+評価差額80,000×P社持分比率60%=96,000

   <平成25年改正前の会計処理>
   (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式 240,000  
      利益剰余金 60,000   少数株主持分 96,000  
      評価差額 80,000     
      のれん 96,000     

  設例2 持分法適用関連会社(持分比率30%)→60%(連結子会社)のケース
  ① 前提条件
   (ア) P社がS社の株式を段階的に取得
   (取得状況)
   20180215連結決算5.jpg
    発行済み株式数:10,000株
    設例において評価差額の税効果については考慮しない。
    個別財務諸表上の仕訳については省略する。

   (イ) X1年3月31日のP社及びS社の貸借対照表
    20180215連結決算6.jpg
   X1年3月31日の土地の時価評価額は200,000千円
   S社株式取得に伴うのれん相当額は以下のとおりであり、×2年度から10年で均等償却を行うものとする。
   S社株式90,000-((資本金100,000+利益剰余金40,000)×P社持分比率30%+土地時価簿価差額40,000×P社持分比率30%)=36,000千円

   (ウ) X2年3月31日のP社及びS社の貸借対照表
    20180215連結決算7.jpg
   支配獲得時(×2年3月31日)の土地の時価評価額は240,000千円

  ② 連結仕訳(単位:千円)
   (a) X1年3月期の連結仕訳
   X1年3月31日の株式取得時点(持分法適用開始時点)
   (借) 仕訳なし

   (b) X2年3月期の連結仕訳(持分法適用関連会社→連結子会社となった期)
    (ア) 土地評価差額計上(X2年3月末の評価差額の処理)
     (借) 土地 80,000   (貸) 評価差額 80,000  
     計算式: 土地の時価-土地の帳簿価額=240,000-160,000=80,000
    (イ) 修正後のS社貸借対照表
     20180215連結決算8.jpg
    (ウ) X2年3月期の当期純利益計上
   X2年3月期末までは持分法適用関連会社であったため、持分法仕訳を計上
   (借) S社株式 6,000   (貸) 持分法による投資利益 6,000  
    ※ 当期純利益×P社持分比率30%=20,000×30%=6,000

    (エ) のれん相当額の償却(X2年3月期)
   X2年3月期末までは持分法適用関連会社であったため、持分法仕訳を計上
   (借) 持分法による投資利益 3,600   (貸) S社株式 3,600  
    ※ のれん相当額36,000千円×1/10=3,600千円

    (オ) 投資額を支配獲得日の時価に修正

   (借) S社株式 27,600   (貸) 段階取得に係る差益 27,600  
    計算式: S社投資額の時価-S社投資額の持分法評価額
   =@40千円(支配獲得日の時価単価)×6千株(保有株式数)-(210,000+6,000-3,600)(支配獲得までの取得原価+持分法仕訳の累計)=27,600
   持分法適用関連会社から連結子会社となった場合においても、支配獲得までの取得原価と持分法仕訳の累計を合計した額と、支配獲得日の時価との差額を「段階取得に係る差益」として原則として特別利益に計上します。

    (カ) 投資と資本の相殺消去
    <平成25年改正後の会計処理>
   (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式 240,000  
      利益剰余金 60,000   非支配株主持分(*1) 96,000  
     評価差額 80,000     
      のれん(*2) 96,000     
    *1(資本金100,000+利益剰余金60,000+評価差額80,000)×非支配株主持分比率40%=96,000
    *2S社株式240,000(S社投資額の時価)-(資本金100,000+利益剰余金60,000+評価差額80,000)×P社持分比率60%=96,000

    <平成25年改正前の会計処理>
   (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式 240,000  
      利益剰余金 60,000   少数株主持分 96,000  
      評価差額 80,000     
      のれん 96,000     
  設例1ではX1年度に10%、X2年度に50%を取得した結果、60%の持分比率となっており、設例2ではX1年度に30%、X2年度に30%を取得した結果、60%の持分比率となっています。
  株式取得の経過は異なっていますが、支配獲得のタイミングが同一であり、支配獲得時に親会社の子会社投資額が時価に置き換えられた結果、S社株式は240,000、のれんの金額は96,000とそれぞれ同額になりました。
  支配獲得により投資実態が変わるため、その時点で投資が一旦清算され、改めて投資を行ったと考え、支配獲得時点の時価を新たな投資原価とする考え方が、これらの設例から見て取れます。

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決算処理-連結決算④子会社株式の追加取得、時価発行増資 [決算-連結決算]

 親会社の支配が継続している場合における連結子会社株式の追加取得及び時価発行増資の会計処理について解説します。
 設例1 当初持分比率60%(連結子会社)→80%(連結子会社)
 設例2 時価発行増資により持分比率が増加するケース

1. 子会社株式の追加取得

 (1) 支配が継続している場合における連結子会社株式の追加取得の会計処理

 支配が継続している状況で連結子会社株式を追加取得した場合は、追加取得した株式に対応する持分を非支配株主持分(改正前は少数株主持分)から減額し、追加取得により増加した親会社の持分(以下「追加取得持分」という。)を追加投資額と相殺消去します。
 平成25年改正前は、追加投資持分と追加投資額の間に生じた差額はのれん(又は負ののれん)として処理していました。平成25年改正後の当該差額は、国際的な会計基準では支配獲得後に支配を喪失する結果とならない親会社持分の変動(非支配株主との取引)は資本取引とされており、国際的な会計基準との比較可能性の向上を図る観点から、資本剰余金として処理することとされています(企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下、連結会計基準という。)第28項)。
なお、資本剰余金の増減として処理した結果、資本剰余金が負の値となる場合には、連結会計年度末において、資本剰余金を零とし、当該負の値を利益剰余金から減額することとなります(連結会計基準第30-2項)
 20180210連結決算.jpg
 上記の他、関連論点として下記については第5回をご参照下さい。
 追加取得や一部売却が行われた後に関連会社となった場合ののれん金額(第5回3)
 追加取得や一部売却の際に計上された資本剰余金の支配喪失後の会計処理(第5回4)
 追加取得や一部売却の際に計上された資本剰余金に係る税金費用の会計処理(第5回5)
 追加取得や一部売却に係るキャッシュ・フローの表示区分(第5回6)

 (2) 追加取得の設例

 設例1 当初持分比率60%(連結子会社)→80%(連結子会社)のケース
 平成25年改正前後で変更のある箇所については、改正前後の会計処理を併記しています。

 取得状況 P社がS社の株式を追加取得
  20180210連結決算2.jpg
  発行済み株式数:10,000株

 新規取得年度
  ① 前提条件 X1年3月31日のP社及びS社の貸借対照表
   20180210連結決算3.jpg
   支配獲得時(X1年3月31日)の土地の時価評価額は240,000千円
   設例において評価差額の税効果については考慮しない。

 個別財務諸表上の仕訳については省略する。
  ② 連結仕訳(単位:千円)
   (ア) 土地に係る評価差額の計上
    (借)土地 80,000     (貸)評価差額 80,000  
    計算式:土地の時価-土地の帳簿価額=240,000-160,000=80,000

   (イ) 修正後のS社貸借対照表
    20180210連結決算4.jpg
   (ウ) 投資と資本の相殺消去
    <平成25年改正後の会計処理>
     (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式 180,000  
        利益剰余金 60,000   非支配株主持分 (*1) 96,000  
        評価差額 80,000  
        のれん(*2) 36,000  
    *1 (資本金100,000+利益剰余金60,000+評価差額80,000)×非支配株主持分比率40%=96,000
    *2 S社株式180,000-(資本金100,000+利益剰余金60,000+評価差額80,000)×P社持分比率60%=36,000

    <平成25年改正前の会計処理>
     (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式 180,000  
        利益剰余金 60,000   少数株主持分 96,000  
        評価差額 80,000  
       のれん(*2) 36,000  

    追加取得年度
     ① 前提条件 X2年3月31日のP社及びS社の貸借対照表
20180210連結決算5.jpg
    追加取得時(X2年3月31日)の土地の時価評価額は260,000千円

     ② 連結仕訳(単位:千円)
     (ア) 土地に係る評価差額の計上
      (借)土地 80,000     (貸)評価差額 80,000  
      計算式:支配獲得時における土地の時価-土地の帳簿価額=240,000-160,000=80,000
      ※支配獲得後に株式の追加取得を行った場合には、子会社の資産及び負債を追加取得後の時価により評価替えしません(会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(以下、資本連結実務指針という。)第17項)。

     (イ) 修正後のS社貸借対照表
     20180210連結決算6.jpg
     (ウ) 開始仕訳(新規取得年度②(ウ)と同様)
     <平成25年改正後の会計処理>
     (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式 180,000  
        利益剰余金 60,000   非支配株主持分 96,000  
        評価差額 80,000  
        のれん 36,000  

     <平成25年改正前の会計処理>
     (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式 180,000  
        利益剰余金 60,000   少数株主持分 96,000  
        評価差額 80,000  
        のれん 36,000  

     (エ) のれんの償却
     (借)のれん償却 3,600     (貸) のれん 3,600  
      X2年3月期から10年間で定額法により償却するものとする。
      ※:のれん36,000×1/10=3,600

     (オ) 非支配株主に帰属する当期純利益(少数株主損益)の計上
     <平成25年改正後の会計処理>
     (借) 非支配株主に帰属する当期純利益 28,000   (貸) 非支配株主持分 28,000  
        
     *S社当期純利益70,000×非支配株主持分比率40%=28,000

     <平成25年改正前の会計処理>
     (借) 少数株主損益 28,000   (貸) 少数株主持分 28,000  

     (カ) 追加取得仕訳
     <平成25年改正後の会計処理>
     (借) 非支配株主持分(*1) 62,000   (貸) S社株式(*2) 60,000  
   資本剰余金 2,000  
    *1 (資本金100,000+利益剰余金130,000+評価差額80,000)×追加取得持分比率20%=62,000
又は(非支配株主持分期首96,000+当期増加28,000)÷追加取得前非支配株主持分比率40%×追加取得持分比率20%=62,000
    *2 S社株式30千円×2,000株=60,000

     <平成25年改正前の会計処理>
     (借) 少数株主持分 62,000   (貸) S社株式 60,000  
               (貸) 負ののれん 2,000  

 (3) 支配が継続している場合における連結子会社の時価発行増資の会計処理

 支配が継続している連結子会社の時価発行増資等に伴い、親会社の払込額と親会社の持分の増減額との間に差額が生じた場合、平成25年改正前は当該差額を損益として処理するか、利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれがあると認められる場合には利益剰余金に直接加減処理することとされていました。
 しかし、現在は、支配関係が継続している場合には前述の追加取得の場合と同様に資本取引として位置づけられるため、親会社の払込額と親会社の持分の増減額との差額は資本剰余金として処理します(連結会計基準第30項)。
  20180210連結決算7.jpg

 (4) 時価発行増資の設例
 設例2 時価発行増資により持分比率が増加するケース

 平成25年改正前後で変更のある箇所については、改正前後の会計処理を併記しています。
 取得状況 P社がS社の第三者割当増資を引き受け、2,000株を追加取得
   20180210連結決算8.jpg
 発行済み株式数:10,000株 ⇒ 増資後:12,000株

 新規取得年度
 ① 前提条件  X1年3月31日のP社及びS社の貸借対照表
  20180210連結決算9.jpg

 支配獲得時(X1年3月31日)の土地の時価評価額は200,000千円
 設例において評価差額の税効果については考慮しない。
 個別財務諸表上の仕訳については省略する。

 ② 連結仕訳(単位:千円)
  (ア) 土地に係る評価差額の計上
  (借)土地 40,000     (貸)評価差額 40,000  
   計算式:土地の時価-土地の帳簿価額=200,000-160,000=40,000

  (イ) 修正後のS社貸借対照表
   20180210連結決算10.jpg
(ウ) 投資と資本の相殺消去
  <平成25年改正後の会計処理>
   (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式 180,000  
      利益剰余金 40,000   非支配株主持分 (*1) 72,000  
      評価差額   40,000  
      のれん(*2) 72,000  
    *1 (資本金100,000+利益剰余金40,000+評価差額40,000)×非支配株主持分比率40%=72,000
    *2 S社株式180,000-(資本金100,000+利益剰余金40,000+評価差額40,000)×P社持分比率60%=72,000

  <平成25年改正前の会計処理>
   (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式 180,000  
      利益剰余金 40,000   少数株主持分 72,000  
      評価差額 40,000  
      のれん 72,000  

   追加取得年度
   ① 前提条件 X2年3月31日のP社及びS社の貸借対照表
 20180210連結決算11.jpg

  S社はX2年3月31日に親会社に2,000株を70,000千円(1株当たり35千円)で割り当てた。
  割当後 X2年3月31日のP社及びS社の貸借対照表
   20180210連結決算12.jpg

   ② 連結仕訳(単位:千円)
   (ア) 土地に係る評価差額の計上
   (借)土地 40,000     (貸)評価差額 40,000  
   計算式:支配獲得時における土地の時価-土地の帳簿価額=200,000-160,000=40,000
   (イ) 修正後のS社貸借対照表
    20180210連結決算13.jpg
   (ウ) 開始仕訳(新規取得年度②(ウ)と同様)
   <平成25年改正後の会計処理>
   (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式 180,000  
      利益剰余金 40,000   非支配株主持分 72,000  
      評価差額 40,000  
      のれん 72,000  

   <平成25年改正前の会計処理>
   (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式 180,000  
      利益剰余金 40,000   少数株主持分 72,000  
      評価差額 40,000  
      のれん 72,000  

   (エ) のれんの償却
   (借)のれん償却 7,200     (貸)のれん 7,200  
    X2年3月期から10年間で定額法により償却するものとする。
    ※:のれん72,000×1/10=7,200

   (オ) 非支配株主に帰属する当期純利益(少数株主損益)の計上
   <平成25年改正後の会計処理>
   (借) 非支配株主に帰属する当期純利益 8,000     (貸) 非支配株主持分 8,000      *S社当期純利益20,000×非支配株主持分比率40%=8,000

   <平成25年改正前の会計処理>
   (借)少数株主損益 8,000     (貸)少数株主持分 8,000  

   (カ) 時価発行増資に伴う持分変動処理
   <平成25年改正後の会計処理>
   (借) 資本金 70,000   (貸) S社株式 70,000  
      S社株式 28,000   非支配株主持分(*1) 28,000  
      非支配株主持分(*2) 18,000   S社株式 28,000  
      資本剰余金(*3) 10,000  

   P社で全株引き受けたS社の第三者割当増資額70,000千円(2,000株)を一旦従来の持分比率で非支配株主(少数株主)も28,000千円(800株)引き受け、その後P社が非支配株主(少数株主)から当該株式数を非支配株主の引受額で追加取得したものとみなし、追加取得に準じた処理を行う。
   *1 増資金額70,000×少数株主持分比率40%=28,000
   *2(資本金170,000+利益剰余金60,000+評価差額40,000)×(8,000株/12,000株-6,000株/10,000株)= 18,000
   *3 28,000-18,000=10,000
   期末の連結財務諸表において資本剰余金が負の値になる場合は、当該負の値を利益剰余金から減額します(連結会計基準30-2項)。
   (借)利益剰余金 10,000     (貸)資本剰余金 10,000  

  <平成25年改正前の会計処理>
   (借) 資本金 70,000   (貸) S社株式 70,000  
      S社株式 28,000   少数株主持分 28,000  
      少数株主持分 18,000   S社株式 28,000  
      のれん 10,000  

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決算処理-連結決算⑤子会社株式の一括売却 [決算-連結決算]

 今回は支配が継続している場合の連結子会社一部売却の会計処理について解説します。

設例 当初持分比率80%(連結子会社)→60%(連結子会社)→30%(持分法)のケース

子会社株式の一部売却

1. 支配関係が継続している場合における連結子会社株式の一部売却の会計処理

 支配関係が継続している場合に連結子会社株式を一部売却した場合には、売却した株式に対応する持分を親会社の持分から減額し、非支配株主持分(改正前は少数株主持分)を増額します。
 なお、売却による親会社の持分の減少額(以下「売却持分」という。)と売却価額との間に生じた差額は、平成25年改正前は子会社株式の売却損益の修正として処理し、売却に伴うのれんはのれんの未償却分のうち売却した株式に対応する部分を同様に売却損益の修正として処理していました。改正後、当該差額は資本剰余金として処理し、のれんの未償却分は減額しません(連結会計基準第29項、66-2項)。
 20180204連結決算.jpg
 のれんの未償却分を減額しない理由は、支配獲得後は支配が継続している限り、償却や減損を除いてのれんを減額すべきではないという考え方や、支配獲得後における子会社株式の追加取得時にはのれんが追加計上されない(平成25年改正により資本剰余金として処理)一方、一部売却時にのれんを減額すると、追加取得時の会計処理と整合した取扱いにはならないという考え方によるものです。
つまり、支配が継続している間は、のれんの償却や減損を除いて、持分変動が生じた場合にものれんの金額は変動しないということになります。
 なお、子会社株式の売却等により被投資会社が子会社及び関連会社に該当しなくなった場合には、改正前と同様に、連結財務諸表上、残存する当該被投資会社に対する投資は個別貸借対照表上の帳簿価額をもって評価します。

2. 一部売却後ののれん償却額の会計処理

 支配が継続している限り、子会社株式の一部売却を行った場合にものれんの金額は増減しません。
ここで、当該のれんの償却額について、全額を親会社株主に帰属する当期純利益に計上するか、減少した持分に相当するのれん償却額は非支配株主に帰属する当期純利益(改正前の少数株主利益)に計上するかということが論点となります。
 会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(以下、資本連結実務指針という。)第66-3項では、のれんが計上されるのは支配獲得時点であり、親会社と子会社の支配関係が継続している場合には、たとえ親会社の持分変動があったとしても、支配獲得時に計上したのれんの未償却額を減額しないこととされたため、一部売却により持分が減少したとしても、当初に支配を獲得した持分に対応するのれんの償却額は全額親会社株主に帰属する当期純利益に計上することとされています。

3. 追加取得や一部売却が行われた後に関連会社となった場合ののれん金額

 以前は、追加取得が行われた場合、追加取得持分と追加投資額との差額は、のれん又は負ののれんとして処理され、一部売却の場合にはのれんの未償却分ののうち売却した株式に対応する部分を減額処理していました。
 現在は、支配が継続している限り、追加取得を行った場合にも一部売却を行った場合にものれんの金額は増減しません。
 この違いから、支配獲得後に追加取得や一部売却等によって持分比率が増減した後に支配を喪失して関連会社になった場合、のれんの未償却分のどの部分を関連会社として残存する持分比率に相当するのれんの未償却分として算定するかが論点となります。

 支配を喪失して関連会社になった場合におけるのれんの未償却額の算定に当たっては、以下の2つの方法等から、適切な方法に基づき、関連会社として残存する持分比率に相当するのれんの未償却額を算定することとされています。(資本連結実務指針第45-2項、第66-6項参照)。

 ①支配獲得後の持分比率の推移等を勘案し、のれんの未償却額のうち、支配獲得時の持分比率に占める関連会社として残存する持分比率に相当する額を算定する方法

 ②支配喪失時の持分比率に占める関連会社として残存する持分比率に相当する額を算定する方法

 これらの方法を数値に当てはめると以下のような考え方になります。

 例:追加取得後に支配を喪失した場合(60%→70%→30%と持分比率が推移した場合)

 ①の方法: のれんの未償却額のうち、60分の30を減額する
 (分母:支配獲得時の親会社持分、分子:売却持分から追加取得持分を控除)

 ②の方法: のれんの未償却額のうち、70分の40を減額する
 (分母:売却直前の親会社持分、分子:売却持分)

 なお、平成25年改正前に生じたのれんの未償却額について、①の支配獲得時の持分比率に占める関連会社として残存する持分比率に相当する額を算定する方法を用いる場合、支配獲得時の持分比率に代えて、改正連結会計基準適用時点における持分比率を基礎として、売却後の持分に対応するのれん残高を算定することになります。

4. 追加取得や一部売却の際に計上された資本剰余金の支配喪失後の会計処理

 子会社株式の追加取得及び一部売却等によって生じた資本剰余金は、その後子会社に対する支配が喪失した場合においても、損益や利益剰余金に振り替えることなく、引き続き連結財務諸表上資本剰余金として計上します。

 資本剰余金が負の値となり、当該資本剰余金がゼロになるまで利益剰余金で調整する処理を行っていた場合、子会社が連結範囲から除外された場合にも、連結財務諸表上引き継がれることとされています。(資本連結実務指針第49-2項)

5. 追加取得や一部売却の際に計上された資本剰余金に係る税金費用の会計処理

 子会社株式の一部売却において、関連する法人税等(子会社の投資に対する税効果の調整を含む)は、資本剰余金として処理します(連結会計基準29項及び注9(2))。
 個別財務諸表上、売却益に対応する法人税、住民税及び事業税が計上されますが、連結財務諸表上、資本剰余金として計上される部分(連結上簿価と売却額との差額)については、連結財務諸表上、法人税、住民税及び事業税を相手勘定として、資本剰余金へ振り替えます。
 この振替処理は個別財務諸表上で実際に税額が発生しているかどうかにかかわらず法定実効税率を用いることが原則とされています。なお、実際に発生した税金費用を上限とする方法等、他の合理的な算定方法によることも可能です(会計制度委員会報告第6号「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」(以下、連結税効果実務指針という。)第39項)。

 また、支配が継続している場合に子会社株式を追加取得した際の増加持分と取得対価との差額や、子会社株式を一部売却した際の減少持分と売却価額との差額は一時差異となります。当該一時差異に関連する繰延税金資産及び繰延税金負債を計上する場合には、法人税等調整額ではなく、資本剰余金を相手勘定として計上されます(連結税効果実務指針第39項、第40項、第40-2項)。

6. 追加取得や一部売却に係るキャッシュ・フローの表示区分

 支配が継続している場合、子会社株式を追加取得した場合のキャッシュ・アウト・フロー、及び子会社株式を一部売却した場合のキャッシュ・イン・フローは、いずれも非支配株主との取引として「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に表示します。
(会計制度委員会報告第8号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」第9-2項)

7. 一部売却の設例

 設例2 当初持分比率80%(連結子会社)→60%(連結子会社)→30%(持分法)のケース
 平成25年改正前後で変更のある箇所については、改正前後の会計処理を併記しています。

 (1) 取得状況 P社がS社の株式を一部売却
 20180204連結決算2.jpg
 発行済み株式数:10,000株

 (2) 新規取得年度
 ① 前提条件 X1年3月31日のP社及びS社の貸借対照表
 20180204連結決算3.jpg
 支配獲得時(X1年3月31日)の土地の時価評価額は260,000千円
 設例において評価差額の税効果については考慮しない。
 個別財務諸表上の仕訳については省略する。

 ② 連結仕訳(単位:千円)
 (ア) 土地に係る評価差額の計上
 (借)土地  100,000     (貸)評価差額 100,000  
  計算式:土地の時価-土地の帳簿価額=260,000-160,000=100,000

 (イ) 修正後のS社貸借対照表
 20180204連結決算4.jpg

 (ウ) 投資と資本の相殺消去
 <平成25年改正後の会計処理>
  (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式
      利益剰余金 80,000       非支配株主持分 (*1)
      評価差額 100,000  
      のれん(*2) 16,000  
 *1(資本金100,000+利益剰余金80,000+評価差額100,000)×非支配株主持分比率20%=56,000
 *2S社株式240,000-(資本金100,000+利益剰余金80,000+評価差額100,000)×P社持分比率80%=16,000

 <平成25年改正前の会計処理>
  (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式
      利益剰余金 80,000       少数株主持分
      評価差額 100,000  
      のれん 16,000  

 (3) 一部売却年度(80%→60% 親子会社間の支配関係は継続)
  ① 前提条件 X2年3月31日のP社及びS社の貸借対照表
  20180204連結決算5.jpg
 S社株式の売却価額は72,000千円、売却簿価は60,000千円であるため、P社の個別財務諸表上、12,000千円の売却益が計上されます。

  ② 連結仕訳(単位:千円)
  (ア) 土地に係る評価差額の計上
    (借)土地 100,000     (貸)評価差額 100,000  
   計算式:支配獲得時における土地の時価-土地の帳簿価額=260,000-160,000=100,000
  (イ) 修正後のS社貸借対照表
  20180204連結決算6.jpg

  (ウ) 開始仕訳(新規取得年度②(ウ)と同様)
  <平成25年改正後の会計処理>
    (借)資本金 100,000   (貸) S社株式 240,000  
       利益剰余金 80,000   非支配株主持分 56,000  
       評価差額 100,000  
      のれん 16,000  
<平成25年改正前の会計処理>
    (借)資本金 100,000   (貸) S社株式 240,000  
       利益剰余金 80,000   少数株主持分 56,000  
       評価差額 100,000  
       のれん 16,000  

  (エ) のれんの償却
    (借)のれん償却 1,600     (貸)のれん 1,600  
     X2年3月期から10年間で定額法により償却するものとする。
    ※ のれん16,000×1/10=1,600

  (オ) 非支配株主に帰属する当期純利益(少数株主損益)の計上
  <平成25年改正後の会計処理>
    (借)非支配株主に帰属する当期純利益 6,000   (貸) 非支配株主持分 6,000  

     * S社当期純利益30,000×非支配株主持分比率20%=6,000

  <平成25年改正前の会計処理>
    (借)少数株主損益 6,000   (貸)少数株主持分 6,000  

  (カ) 一部売却仕訳
  <平成25年改正後の会計処理>
    (借)S社株式 60,000    (貸)非支配株主持分(*1) 62,000  
      株式売却益(*2) 2,000  

  *1(資本金100,000+利益剰余金110,000+評価差額100,000)×増加する非支配株主持分比率(=売却持分比率)20%=62,000
  *2非支配株主持分62,000 - S社株式60,000 =2,000

  平成25年改正後では、のれんの未償却部分についての調整が行われません。
  <平成25年改正前の会計処理>
    (借) S社株式 60,000   (貸) 少数株主持分 62,000  
        株式売却益 5,600   のれん (*2)  3,600  
  *2(のれん16,000-のれん償却1,600)÷売却前P社持分比率80%×売却持分比率20%=3,600
 株式売却益の資本剰余金への振替え
    (借)株式売却益 10,000   (貸)資本剰余金 10,000  

 * P社個別財務諸表における株式売却益12,000-連結上の売却益の修正2,000=10,000
 X2年の連結仕訳を集計し、連結財務諸表への影響をまとめると、下記のとおりになります。
 一部売却時にのれんが減額されないことにより、改正後は改正前に比べて純資産が3,600大きくなります。
  20180204連結決算7.jpg また、P社投資(S社株式)とS社資本の関連性をまとめたものが以下の図になります。
 <図1:P社投資(S社株式)とS社資本の関連図>
  20180204連結決算8.jpg

 改正後
 図1内の黄色塗部分が連結上の売却持分になります。改正後、のれんは増減しないため、緑色塗部分は連結上の売却持分に含まれません。連結仕訳としては、個別上の売却簿価60,000と連結上の売却持分簿価62,000の差額2,000を株式売却益にて調整することになります。また、支配関係が継続している場合における連結子会社株式の一部売却は資本取引となりますので、調整後の株式売却益10,000(=12,000-2,000)は、資本剰余金に振り替えます。

 改正前
 図1内の緑色塗部分の、のれんの売却持分相当額(3,600)は株式売却益として調整していました。したがって、連結上の売却持分簿価は黄色塗部分と緑色塗部分の合計65,600となり、個別上の売却簿価60,000と連結上の売却持分簿価65,600の差額5,600を株式売却益にて調整することになり、株式売却益は6,400(12,000-5,600)となります。当該取引は資本取引ではなく、損益取引であったため、連結損益計算書に株式売却益が計上されます。

 (4)一部売却年度(60%→30% 持分法適用関連会社に)
  ① 前提条件 X3年3月31日のP社及びS社の貸借対照表
20180204連結決算9.jpg
  S社株式の売却価額は100,000千円、売却簿価は90,000千円で、P社個別財務諸表上、10,000千円の売却益が計上されます。
  ② 連結仕訳(単位:千円)

 (ア) 土地に係る評価差額の計上
   (借)土地 100,000   (貸)評価差額 100,000  
  計算式:支配獲得時における土地の時価-土地の帳簿価額=260,000-160,000=100,000
 (イ) 修正後のS社貸借対照表
   20180204連結決算10.jpg
 (ウ) 開始仕訳
  <平成25年改正後の会計処理>
     (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式 180,000  
        利益剰余金(*1) 99,600   非支配株主持分 124,000  
        評価差額 100,000   資本剰余金 10,000  
        のれん 14,400  
  *1.X1年開始仕訳利益剰余金80,000+×2年損益取引仕訳(のれん償却1,600+非支配株主に帰属する当期純利益6,000+株式売却益修正12,000)=99,600

  <平成25年改正前の会計処理>
     (借) 資本金 100,000   (貸) S社株式 180,000  
        利益剰余金(*1) 93,200   少数株主持分 124,000  
        評価差額 100,000  
        のれん 10,800  
  *1.X1年開始仕訳利益剰余金80,000+×2年損益取引仕訳(のれん償却1,600+少数株主損益6,000+株式売却益修正5,600)=93,200

 (エ) のれんの償却
  <平成25年改正後の会計処理>
   (借)のれん償却 1,600   (貸)のれん 1,600  
  ※のれん14,400×1/9(残り9年)=1,600
  または支配獲得時におけるのれん16,000×1/10 =1,600

  <平成25年改正前の会計処理>
   (借)のれん償却 1,200   (貸)のれん 1,200  
  ※のれん10,800×1/9(残り9年)=1,200

 (オ) 非支配株主に帰属する当期純利益(少数株主損益)の計上
  <平成25年改正後の会計処理>
   (借) 非支配株主に帰属する当期純利益 8,000   (貸) 非支配株主持分 8,000  

   * S社当期純利益20,000×非支配株主持分比率40%=8,000
  <平成25年改正前の会計処理>
   (借) 少数株主損益 8,000   (貸) 少数株主持分 8,000  

 (カ) 一部売却に伴う開始仕訳の振り戻し
  S社株式の一部売却に伴いS社は持分法適用会社となるため、開始仕訳を振り戻す。
  <平成25年改正後の会計処理>
   (借) S社株式 180,000   (貸) 資本金 100,000  
      非支配株主持分 124,000   利益剰余金 99,600  
      資本剰余金 100,000   評価差額 100,000  
のれん 14,400  

  <平成25年改正前の会計処理>
   (借) S社株式 180,000   (貸) 資本金 100,000  
      少数株主持分 124,000   利益剰余金 93,200  
   評価差額 100,000  
のれん 10,800  

 (キ) 一部売却に伴うS社貸借対照表の除外仕訳
   (借) 負債 100,000   (貸) 資産(その他) 170,000  
      資本金 100,000   土地 260,000  
      利益剰余金-期首残高 110,000     
      利益剰余金-連結除外 20,000     
      評価差額 100,000     

 (ク) 持分法による評価及び非支配持分の振戻し
 連結除外年度までに計上されたS社の当期純利益等を計上し、S社株式に加算
  <平成25年改正後の会計処理>
   (借) S社株式(*1) 30,800   (貸) 利益剰余金-期首残高(*3) 20,400  
非支配株主持分(*2) 8,000   利益剰余金-連結除外 20,000  
      資本剰余金 1,600     
   (借) 利益剰余金-期首残高 10,000   (貸) 資本剰余金 10,000  
    *1.X1期当期純利益30,000×P社持分比率(X1期)80%-のれん償却額1,600+X2期当期純利益20,000×P社持分比率(X2期)60%-のれん償却額1,600-株式売却益調整額2,000=30,800
    *2.X2期当期純利益20,000×少数株主持分比率40%=8,000
    *3.X1期当期純利益30,000×P社持分比率(X1期)80%-のれん償却1,600-株式売却益調整額2,000=20,400

  <平成25年改正前の会計処理>
    (借)S社株式(*1) 27,600   (貸)利益剰余金-期首残高(*4) 16,800  
      少数株主持分(*2) 8,000    利益剰余金-連結除外 20,000  
のれん(*3) 1,200     
  *1.X1期当期純利益30,000×P社持分比率(X1期)80%-のれん償却1,600+X2期当期純利益20,000×P社持分比率(X2期)60%-のれん償却1,200-株式売却益調整額5,600=27,600
  *2.X2期当期純利益20,000×少数株主持分比率40%=8,000
  *3.X2期償却のれん部分1,200
  *4.支配喪失前期までの取込額:X1期当期純利益30,000×P社持分比率(X1期)80%-のれん償却1,600-株式売却益調整額5,600=16,800

 (ケ) 株式売却損益の修正
 <平成25年改正後の会計処理>
   (借) 株式売却益 10,000   (貸) S社株式(*1) 17,000  
      株式売却損 7,000     
 *1 .持分法を適用した場合のS社株式持分は以下のとおりです。
 S社純資産330,000×30%+のれん未償却分(16,000-1,600-1,600)×30%/80%=103,800
 支配継続時における一部売却において、持分減少に伴いのれんを減少させていないため、のれん未償却分の算定にあたっては80%で割戻し、売却後持分の30%を乗じて計算する等の方法によって算定します(3.追加取得や一部売却が行われた後に関連会社となった場合ののれん金額の算定)。
 持分法適用に伴うS社株式加算額は、103,800-個別財務諸表計上額90,000=13,800
 上記(ク)により加算されたS社株式修正額との差額が株式売却に伴い減少した持分部分であり、株式売却損益修正額となるため、30,800-13,800=17,000

 <平成25年改正前の会計処理>
   (借) 株式売却益 10,000   (貸) S社株式(*1) 13,800  
      株式売却損 3,800     
  *1.持分法を適用した場合のS社株式持分は以下のとおりです。
  S社純資産330,000×30%+のれん未償却分(16,000-1,600-3,600-1,200)×30%/60%=103,800
  持分法適用に伴うS社株式加算額は、103,800-個別財務諸表計上額90,000=13,800
  上記(ク)により加算されたS社株式修正額との差額が株式売却に伴い減少した持分部分であり、株式売却損益修正額となるため、27,600-13,800=13,800 当該金額13,800は上記(ク)により加算されたS社株式修正額×30%/60%と同額になります。平成25年改正前は支配継続時における一部売却においても、持分減少に伴いのれんを減少させているため、売却前持分60%で割戻し、売却持分30%を乗じることで株式売却損益の修正額が算定できます。
  X3年の連結仕訳を集計し、連結財務諸表への影響をまとめると、下記のとおりになります。 20180204連結決算11.jpg
  X2年にはのれんが減額されないことにより、改正前に比べて改正後の純資産が3,600大きくなっていました。
  X3年には、のれん償却額が改正前に比べて改正後の方が400大きく、支配喪失時には改正前に比べてのれんの減額が3,200大きくなっているため、計3,600の費用が増加した結果、改正前と改正後の純資産額は同額となります。なお、改正後は10,000が資本剰余金に振り替えられているため、改正後に比べて利益剰余金が10,000少なく、資本剰余金が10,000多くなります。

 改正後のP社投資(S社株式)とS社資本の関連性をまとめたものが以下の図2になります。
 <図2:改正後のP社投資(S社株式)とS社資本の関連図>
    20180204連結決算12.jpg

 図2内の黄色塗部分が改正後の連結上の売却持分になります。X1年の一部売却時にのれんを減少させていなかった部分は支配喪失時に売却持分に含まれることになります。 連結仕訳としては、個別上の売却簿価90,000と連結上の売却持分簿価107,000の差額17,000を株式売却益にて調整することになります。
 また、改正前のP社投資(S社株式)とS社資本の関連性をまとめたものが以下の図3になります。
 <図3:改正前のP社投資(S社株式)とS社資本の関連図>
    20180204連結決算13.jpg
 図3内の黄色部分が売却持分となります、緑色塗部分の、のれんの売却持分相当額(3,600)はX1年に株式売却益として調整済であるため、売却持分には含まれません。
 したがって、連結上の売却持分簿価は黄色塗部分103,800となり、個別上の売却簿価90,000と連結上の売却持分簿価103,800の差額13,800を株式売却益にて調整することになります。


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決算処理-連結決算⑥親子会社の決算日の統一 [決算-連結決算]

 日本の会計基準では、子会社の決算日と連結決算日の差異が3カ月を超えない場合には、子会社の正規の決算を基礎に連結決算を行うことが認められています(連結財務諸表に関する会計基準(企業会計基準第22号)。そのため、12月決算の子会社の財務諸表を用いて3月決算の連結財務諸表を作成している事例が多いです。

 一方、近年では次のような理由から「親子会社の決算日統一」を行う事例が見られるようになりました。
 ・将来のIFRS適用へ備える
 ・予算編成等において経営の効率化を図る
 ・投資家等のステイクホルダーへ他社との比較利便性等を提供する
 ・期ズレをなくし、より適切な連結業績を把握する

 そこで今回は、親子会社の決算日の統一にあたっての実務上の留意点を挙げてみます。



1. 決算日の統一の方法


 親子会社の決算日を統一するには、子会社の決算日を変更する方法、または親会社の決算日を変更する方法、の両方が考えられます。
 例えば親会社が3月決算である場合には、12月決算の子会社の決算日を3月に変更する方法、または親会社の決算日を12月に変更する方法が考えられます。
 今までに親子会社の決算日の変更に伴う会計処理等を明確に定めた会計基準等はありませんが、平成23年4月1日以後開始する事業年度から「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」が定められ過年度遡及の考えが導入されたことに合わせ、日本公認会計士協会から「比較情報の取扱いに関する研究報告(中間報告)」(会計制度委員会研究報告第14号、平成24年5月15日)(以下、「本研究報告」という。)が公表され、親子会社の決算日の変更に伴う会計処理等が示されました(本研究報告Ⅱ5、Ⅱ6)。
 本研究報告は、日本公認会計士協会会員の業務の「参考」に資することを目的として公表されているため実務を拘束するものではありませんが、実際の現場実務では考慮されています。



2. 会計方針の変更への該当有無等


 我が国において、親会社又は子会社の「決算日」の変更は「会計方針」の変更には該当しないと考えられています(本研究報告Ⅱ5A(2))。

【四半期決算での対応】

 上述のとおり決算日の変更は会計方針の変更に該当しません。しかし、四半期報告制度や次年度以降の比較情報の有用性等を考慮すると、会計方針の変更の取扱いに準じて、親会社の第1四半期決算から四半期連結決算日の統一を行うことが適当と考えられるものとされています。
 なお、いわゆる第4四半期(最後の四半期)において決算日の統一を行うやむを得ない場合もあると考えられますが、この場合には、損益計算書を通して調整する方法のみが採用でき、実施した会計処理の概要のほか、その理由も記載することが適当と考えられています(本研究報告Ⅱ6A(1))。



3. 比較情報の取扱い


 上記のとおり決算日の変更は会計方針の変更ではないので、遡及適用はされず、比較情報については、前連結会計年度に係る連結財務諸表を記載することになると考えられます(本研究報告Ⅱ6A(2))。

4. 子会社の決算日を変更する場合(前提:親会社3月決算、子会社12月決算)


 12月決算の子会社の決算日を変更して平成27年3月期から決算日を統一するとし、15か月の事業年度として決算を行う場合、親会社の月数は12ヶ月(平成26年4月~平成27年3月)となり、子会社の月数は15ヶ月(平成26年1月~平成27年3月)となります。
 親会社と子会社の連結対象月数の差異となる、子会社の平成26年1月~3月の3ヶ月分の損益の取り込み方法については、次のいずれかを採用することになると考えられます。なお、いずれの方法でも子会社の15ヶ月分を連結財務諸表に取り込むこととなります。

 ①利益剰余金で調整する方法

 子会社の平成26年1月~平成26年3月の3ヶ月分の損益を、連結株主資本等変動計算書に利益剰余金の増減として取り込み(「決算期の変更に伴う子会社剰余金の増加高」等の科目を使用)、平成26年4月~平成27年3月の12ヶ月分の損益のみ、連結損益計算書に損益として取り込みます。

 また、この場合、第1四半期決算では次のようになります。

 親会社:平成26年4月~平成26年6月の3ヶ月分の損益を連結損益計算書に計上
 子会社:平成26年1月~平成26年3月の3ヶ月分の損益を、利益剰余金の増減として取り込み、平成26年4月~平成26年6月の3ヶ月分の損益を連結損益計算書に計上

 ②損益計算書を通して調整する方法

 子会社の平成26年1月~平成27年3月の15ヶ月分の損益を、連結損益計算書に損益として取り込みます。
 また、この場合、第1四半期決算では次のようになると考えられます。
 親会社:平成26年4月~平成26年6月の3ヶ月分の損益を連結損益計算書に計上
 子会社:平成26年1月~平成26年6月の6ヶ月分の損益を連結損益計算書に計上
 20180201連結決算.jpg
 なお、いずれの方法を採用する場合においても、当該連結子会社の事業年度の月数と連結会計年度の月数とが異なることになるので、下記を連結財務諸表に注記します(連結財務諸表規則ガイドライン3-3参照)。
 ・その旨
 ・その内容

 また、重要性が乏しい場合を除き、実施した会計処理の概要等について、次のような内容を含めて注記することが適当と考えられています(本研究報告Ⅱ6A(3)①)。

 ア.利益剰余金で調整する方法を採用する場合
  ・利益剰余金で調整する方法を採用している旨
  ・子会社の平成26年1月から平成26年3月までの間に発生した特別な事象について、利害関係人が適正な判断を行うために必要と認められる事項

 イ.損益計算書を通して調整する方法を採用する場合
  ・損益計算書を通して調整する方法を採用している旨
  ・子会社の平成26年1月から平成26年3月までの売上高、営業損益、経常損益、税引前当期純損益などの損益に関する情報
  ・子会社の平成26年1月から平成26年3月までのその他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益などのその他の包括利益に関する情報

5. 親会社の決算日を変更する場合(前提:親会社3月決算、子会社12月決算)

 3月決算の親会社の決算日を変更して平成26年12月期から決算日を統一するとした場合、親会社の月数は9ヶ月(平成26年4月~平成26年12月)となり、子会社の月数は12ヶ月(平成26年1月~平成26年12月)となります。 なお、この場合、連結決算日を変更することになるので下記を連結財務諸表に注記します。
 ・その旨
 ・変更の理由

 当該変更に伴う連結会計年度の期間

 親会社と子会社の連結対象月数の差異となる、子会社の平成26年1月~3月の3ヶ月分の損益については、次のいずれかの方法を採用することになると考えられます。

  ①利益剰余金で調整する方法

 子会社の平成26年1月~平成26年3月の3ヶ月分の損益を、連結株主資本等変動計算書に利益剰余金の増減として取り込み、親会社及び同期間の子会社の平成26年4月~平成26年12月の9ヶ月分の損益を、連結損益計算書に損益として取り込みます。
また、この場合、第1四半期決算では次のようになります。
 親会社:平成26年4月~平成26年6月の3ヶ月分の損益を連結損益計算書に計上
 子会社:平成26年1月~平成26年3月の3ヶ月分の損益を利益剰余金の増減として取り込み、平成26年4月~平成26年6月の3ヶ月分の損益を連結損益計算書に計上

  ②損益計算書を通して調整する方法

 子会社については平成26年1月~平成26年12月の12ヶ月分の損益を、親会社については平成26年4月~平成26年12月までの9カ月分の損益を、連結損益計算書に損益として取り込みます。
 また、この場合、第1四半期決算では次のようになると考えられます。
 親会社:平成26年4月~平成26年6月の3ヶ月分の損益を連結損益計算書に計上
 子会社:平成26年1月~平成26年6月の6ヶ月分の損益を連結損益計算書に計上
 20180201連結決算2.jpg
 なお、いずれの方法を採用する場合においても、当該連結子会社の事業年度の月数と連結会計年度の月数とが異なることになるので、下記を連結財務諸表に注記します。
 ・その旨
 ・その内容

 また、重要性が乏しい場合を除き、実施した会計処理の概要等について、子会社の決算日を変更する場合と同様の注記をすることが適当と考えられています(本研究報告Ⅱ6A(3)②。具体的な内容は上記「5.子会社の決算日を変更する場合」の「本研究報告Ⅱ6A(3)①」に関する記載を参照)。

6. 決算日の変更方法の選択

 決算日の統一にあたって、「子会社の決算日を変更する方法」、「親会社の決算日を変更する方法」のいずれの変更方法を採用するかは、次のような観点から検討することになると考えられます。
(例)各国の法律・税制、人的リソース、システム、主要な同業他社の決算日

 なお、いずれの変更方法にも共通する課題として、決算処理にあたっての従来の期ズレのメリットが無くなるため、「決算早期化」という課題が挙げられます。実務上は、この「決算早期化」という課題に取り組むことと並行して、上記の観点からいずれの変更方法を採用するかの検討をしていくことが必要です。


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会計処理-ソフトウェア会計①研究開発費とソフトウェアの概要 [会計処理-ソフトウェア会計(研究開発等)]

研究開発費とソフトウェアの概要


(1)研究開発費の概要

 「研究」とは、新しい知識の発見を目的とした計画的な調査及び探究をいい、「開発」とは、新しい製品・サービス・生産方法(以下、製品等)についての計画もしくは設計として、又は既存の製品等を著しく改良するための計画もしくは設計として、研究の成果その他の知識を具体化することをいいます(会計基準一1)。
 研究開発費は、発生時には将来の収益を獲得できるか否か不明であり、また、研究開発計画が進行し、将来の収益獲得期待が高まったとしても、依然としてその獲得が確実であるとはいえません。そのため、研究開発費を資産として貸借対照表に計上することは適切ではなく、全て発生時に費用処理するものとされています(会計基準三)。

(2)ソフトウェアの概要

 ソフトウェアとは、コンピュータを機能させるように、指令を組み合わせて表現したプログラム等をいい、具体的に以下のようなものが含まれます(会計基準一2、実務指針6項)。
コンピュータに一定の仕事を行わせるためのプログラム
システム仕様書、フローチャート等の関連文書

 ソフトウェアは、取得形態(購入か自社開発か)に応じてではなく、制作目的に応じて以下の3分類に区分され、それぞれの会計処理が定められています。これは制作目的に応じて、将来の収益との対応関係が異なることに着目しているためといえます。
 20180128ソフトウェア会計.jpg

 なお、ソフトウェアがコンピュータに一定の仕事を行わせるプログラム等であるのに対し、コンテンツはその処理対象となる情報の内容であり、それぞれ別個の経済価値を持つものであることから、コンテンツはソフトウェアに含めないこととされています。コンテンツの例としては、データベースソフトウェアが処理対象とするデータや、映像・音楽ソフトウェアが処理対象とする画像・音楽データ等が挙げられます(実務指針29項)。
 
(3)研究開発費とソフトウェアの関係

 研究開発目的のソフトウェアの制作費は、研究開発費として処理されることとなりますが、研究開発目的以外のソフトウェアについても、制作に要した費用のうち、研究開発に該当する部分を研究開発費として会計処理をします(会計基準三)。
 例えば、市場販売目的のソフトウェアの制作費のうち、最初に製品化された製品マスターの完成までの費用が研究開発費に該当し、その後に発生する制作費は原則として、ソフトウェアとして資産計上されることになります。また製品マスター又は購入したソフトウェアに対する著しい改良に要した費用についても研究開発費に該当します(研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書三3)。
 なお、自社利用のソフトウェアについても、一定の要件を満たした制作費のみが資産計上され、それ以外は費用処理されることに留意が必要です。



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